ノウハウ 売上UP施策

選ばれたいなら「信頼度」を伝えよう

ノウハウ

学生時代は客観的要素によって順位が決まり、その基準に到達すれば選ばれるし、至らなければ選ばれない。とても明確でした。それが、社会人になるとどうなるか。就活・転職・昇進といった人に選ばれる場面で、どの観点で選ばれるのか正直分からなくなります。単純にその会社の業務に適った業務スキルがあれば、就活や転職が上手くいくか。単純に業績が良ければ昇進が決まるのか。NOです。何故ならば、社会人における選別の評価軸というのは、「総合的」で実は「感情的」だからです。

この記事では、会社員として就労し、同時に経営者の一人として店舗を運営していく上で得た経験から「人が選ばれる」最大のポイントとそのポイントの稼ぎ方を共有したいと思います。

上手くいかない人は、何故選ばれないのか

さて、就活・転職・昇進といった人に選ばれる場面において、上手くいかないと考えている人は何が悪いのでしょうか。

上手くいかないと考えている人の中には、自分としては十分なスキルがあり、実績があると考えていて、その上で思った結果に繋がらない人がいると思います。スキルがマッチしていれば、自ずと選ばれて良いはずと不思議に思っていることでしょう。

私は会社員としては、人事に近い仕事をさせて貰っていた時もありますし、経営者としては現場を担う社員やアルバイトの方の面接を行っていますので、そこでスキルマッチしていて選ばれない場合の、その理由が分かります。

その人が言っている事や経験に、信頼に足る根拠がない

全ては、上記の一言に尽きます。

例えば、就職活動をしている方がいるとします。その方は、「学生時代に接客業のアルバイトをしていて、そこで人と接する楽しさを知り、営業職につきたいと考えています。アルバイト先ではバイトリーダーをしていて、現場の改善を行い売上を向上させた実績があります」と、アピールをしてくれたとします。

この時、一見良い人材だと採用される確率は高いのではないかと思われるかも知れません。しかし、採用する側としては、この情報では当人を評価するには足りないのです。

まず、「接客業をしていて人と接する楽しさを知り」の一節ですが、接客業をしているから本当に楽しいと感じているかは正直判断がつきません。アルバイトの殆どは現場仕事であり、人と接する仕事になります。また、楽しいと感じている情報がないのです。ここに「常連客と仲良くなり友人となった」との一節があってやっと信頼に足る話となります。

更に、「リーダーとして改善をして売上を向上させた」ですが、これは本人の要素が如何ほど貢献しているかが分かりません。単純に現場にいた人の質で売上が良くなったのかも知れないですし、お店の商品の質が向上して売上が上向いたのかも知れません。ここでは、具体的にその方が行った改善を示して、その貢献度が高い根拠を示さないといけないのです。

この様に客観的な要素で示しづらい分、社会人が相手に言葉や文章だけで評価して貰うのはハードルが高いのです。評価されないのであれば、行動と結果の因果関係の根拠が不足しているのが殆どです。

信頼を伝えよう

では、客観的な要素で示しづらいとなれば、どんな要素で相手にアピールすれば良いのでしょうか。上記の様に、自らの行動と結果に対する根拠を言葉で補強してあげれば良いのでしょうか。それも間違いではありませんし、そこは必須条件といえます。

しかし、それだけでは決めてにはならないのです。何故ならば、どんなに行動と結果の根拠を示そうと、当人の口から伝えられている以上、その内容が真実なのかの確証は受け手は確信を持てないからです。言葉であれば美辞麗句を並べて、起こった結果は同じでも違った文脈と解釈で別の評価に導くことも出来ます。その人は選ばれようとしているのですから、その場において何でも利用するでしょう。私が経営に携わっている中で、評価するしないとは別に現場の言葉をそのまま受け止める事が如何に危険かを痛い程理解しています。人は悪意はなくても必ず都合の良いように解釈をしており、見たいものしか見てないのです。

そんな中、選ぶ側は何をもって最終的な判断としているか。それは、

この人は信頼出来るか

この感覚的な要素になります。

面接になればなんだかんだと質問しておいて最後はそんな要素で判断しているのかと肩透かしをくらった感覚の方もいるかも知れませんが、これが真実です。ただ、そのまま言葉通りに受けて止めてはいけません。感覚的な様にみえて、根拠の積み重ねの上に達する状態を「信頼」と呼びます。

つまり、言い換えれば、言葉で受け止めた数々の不確実性情報に対して、裏付けとなる根拠の総量が一定の基準を超えてくれば、その言葉を信じようと判断者を踏み込ませるのです。そのラインがどこまで根拠が積み重なれば良いのか、またはどのポイントで積み重なっているのかは人によるので一概に言えません。しかしながら、選ぶ事自体は決まっているので、必ず選定者は不確実性の中でどこで覚悟を決めて踏み込まなければならないのです。そのポイントをみつけて攻めるのが選ばれる確率をあげる方法論なのです。

ここからは、信頼を得るための具体的な方法論の話です。大きくは次の3つのポイントを抑えると良いです。

①その分野における経験談が多い

②相手の聞きたい情報を正確に返答する

③選ばれた時の相手のメリットを示す

①その分野における経験談が多い

全ての人が選ばれようと良いアピールをします。それ故に選ぶ側は「良い話」しか相手から聞いていない状態になります。この状況において如何にいい話をするかで勝負をしても大差はつきません。ここで一番のミソは、根拠がしっかりしており、その話を信頼していいかです。

相手のスキルを目の前にして見ているわけでもない人が、その根拠を求める先は経験しかありません。即ち、経験談を多く語る事でスキルの大小はともかく、「場数を踏んでいる=スキルがある」という分かりやすいロジックを相手の頭の中で成り立たせる事が出来るのです。その数が多いほど、自ずとその強度はあがるのです。

②相手の聞きたい情報を正確に返答する

ここまで繰り返してきたように、選ぶ側が耳にする情報は殆どが美辞麗句です。その為、彼らが行うのは質問により、その情報の実態を炙り出す事です。つまり、相手の質問が、本質的に何を自らから引き出そうとしているのか理解する必要があります。

例えば、「学生時代で一番努力した事は?」など、良くされる質問ですが、これは何も本当に努力したものが何かを聞いているわけではありません。その人が何に興味を持ち、どのように努力をして、どういう思考で、どういう結果になったのか。そして、それを受けてどう変わったのかを観察しています。それを理解せずに、楽しそうに行った行動を語ったとしても、何も相手に評価する材料を与えた事にはなっていないのです。

選ぶ側が求めている人物像を想像して、それに適った情報を相手に渡せるのがベストです。如何に自分がその像に近い人間かを正確にアピールしましょう。

③選ばれた時の相手のメリットを示す

①②にも通ずるところですが、相手に自分を選んだ時のメリットを示すのが一番簡単な信頼を得る近道になります。経験談を多く語れば、経験が今欲しい人材像と少し離れていても、その中に登場した行動を内部で行ってもらえば新たな価値が生まれると思って貰えるかも知れません。また、相手の欲しい情報を正確に返していれば、更に上に報告する際に自分を推し易いという相手型のメリットが提示出来ます。

山とも海とも分からない相手の今後の行動に期待するよりも、入る前から具体的なメリットを提示すれば、後は入れてそれを実行に移して貰うだけです。この状況ほど相手にとって楽な事はありません。入った後も想像しやすくなる為、相手の心理的ハードルも下がって、選ばれる確度をあげるでしょう。

正直、スキルの高低はわかりやすく有無があるとか、わかりやすく経験値が少ないなどでなければ、選ぶ側はその場で判断できません。なので、このスキルの頭数で勝負しても中々、相手に決定打となりません。それよりも、一つひとつ選んでも良いかという信頼度を重ねる方が確実です。相手に自分を信頼しても良いと思わせる根拠を重ねる、それが選ばれる秘訣です。

まとめ

私の採用体験でこんな事がありました。規模の拡大を図り、新たに社員を迎えた時の話です。

その方は、業務上のスキルも前職で同じ内容を行っており、またマネージャーとしても経験もありました。当初私達は、いい人材を見つけたと喜んで採用しました。しかし結果はどうなったのか。明確にその人の影響でお店の売上が右肩下がりになり、最終的には辞めて貰いました。何が起きたかは割愛させて頂きますが、この時の経験で得たのは、如何に選ばれたい人は美辞麗句を並べるか、そして、その情報にない人的要素が如何に重要かを思い知らされました。

私達の規模でこれなので、当然多くの採用を回している人はこの事は骨身に染みていると思います。技術に信頼は勝ると。

これを逆の立場でいえば、上手く選ばれていないと思っている人は、この様な相手の信頼に対する警戒を払拭できていないのです。つまり、信頼していいという根拠が提示されていないのです。これを打破すには、根拠を積み重ね、そしてそれが相手の求めるポイントでなければいけません。ポイントが絞れたら、直向きに記述の方法を実践していきましょう。

少しでも私の経験が皆さんのお役に立てていれば幸いです。それでは次の記事でお会いしましょう。

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