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【まとめ】コロナ禍における飲食店の客足の変化

ノウハウ

新型コロナの流行によって一番の打撃を受けた業界の一つと言えるのが、「飲食」業界です。特に外食産業は、致命的なダメージを負っています。

その中において、飲食店の経営を行っている私が「中の人」として、客足がどのように変化したのかを振り返ってみたいと思います。

これをみて何かのヒントを得て、少しでも踏ん張る手助けになれば幸いです。

コロナ禍初期(2020年初頭〜夏)

日本におけるコロナの流行は、2020年の初頭から徐々に現実味が高まり、夏になる前には政府が各所に制限を加えるような状態に至ったと記憶しています。コロナ禍初期は、新型コロナウイルスが如何なるものか不明確な部分が多かった事もあり、まずは感染者を増やさない政策として、接触そのものを制限していました。ここにおいては、飲食に限らず全ての業界がストップしていました。外出そのものを一切否定されていた段階なので、どこも休業状態です。しかし、緊急事態宣言期間が短かったのと、一律の補助金が個々人に給付された為、浅い傷で済んでいたと思います。

具体的に、飲食店の状況はどうだったかというと、当然休業状態でしたが、まだ数週間の停止だったのでキャッシュフローにはまだ余裕があるお店が多かったと思います。飲食店のビジネスモデルとして、食べ物を扱っている以上、食材を事前に大量ストックしているわけではないので、直近の営業分の在庫コストがロスしてしまった程度です。人件費に関しては、継続的に雇用コストが発生する正社員を少なくしてアルバイトでオペレーションを回すのが業界の基本なので、社員の稼働率は減りましたが、アルバイトの雇用コストはカット出来て、まだ耐えられる範疇だったと思います。

問題はその後からです。緊急事態宣言があけて、感染者も減った事で外出禁止は解かれました。しかし、新型コロナの感染者はこの段階では少ない状況でしたが、ここから顧客の行動変異が顕著に見られるようになったのをよく覚えています。

初期の段階でわかり始めたのは、高齢者や基礎疾患を持っている方が重症化リスクが高い点です。これにより、この範疇の方の消費が一気に下がりました。対象者は勿論、その方の周辺の方も同様の行動変異を起こすので、単純に「リスクの高い人」の子数だけに影響するものではないのです。特に高齢者というのは、それに紐付く家族が多くいます。祖父母への感染を恐れて、子供世帯も行動を抑えるようになります。結果、活発に活動をして消費を多くする世帯の客足が大きく遠退きました。高齢者単体での行動変異の影響は大きくありませんが、「家族消費」がこの段で後退したのは飲食業界にとって大きなインパクトだったと思います。

幸いにして私が経営に携わっているお店は、高齢者や家族が多く訪れる業態ではないので、この段階では然程前後で客足に大きな変化はありませんでした。

コロナ禍中期(2020秋〜2021春)

初期の頃は、高齢者とその周辺の家族消費の後退で済んでいましたが、2020年秋頃からは更に状況が変わってきました。重症化リスクが高い人の特定の次に、どういうケースで感染が広まっているかの報道が盛んになってきたのです。ターゲットは「会食」と「お酒」です。この報道が各社から流れるようになると、他人と会う行動が敬遠され、「交友消費」が後退しました。

主な打撃は、居酒屋を始めとした酒提供店に直撃しました。飲食店というものは、フックとなる集客を目論んだ原価率の高い商品と、利益を得るための商品のバランスでメニュー構成が成り立っており、酒を置くお店は、食べ物はフック、お酒で利益を作る仕組みとなっているところが殆どです。その為、お酒が売れなければ利益が出ないので、店を開いて顧客が入っても利益が出ない状況にこの時点で追い込まれてしまいました。お酒に限らず、ファミレスやカフェといった会食をメイン用途として想定しているお店も「みずもの」を利益源としたビジネスモデルなので、同時に後退しています。そして、2021年に入る頃には、その印象が一般に定着して、「誰かと会って会食をする」「お酒を外で飲む」は悪となっていました。こうして、人と会って外で食を楽しむというサービスは完全に八方塞がりになります。

この時に、飲食業界で唯一残っていた消費は、「個人消費」です。仕事のお昼のランチや、独り身の方が自炊を回避する為の外食などです。ここに関しては、減退はしているものの依然として消費が継続していたと記憶しています。私達のお店の顧客は「個人消費」によるものが大きいので、勿論売上のアベレージは下がったものの、コロナで劇的に落ちたわけではありませんでした。

ただし、客層の変化は確かにありました。私達のお店は品質にこだわっているので、客層としては嗜好性を求めて来店される顧客が多かったのですが、この時期に入った辺りから嗜好層が低減し、コスパなどを重視する消費層の割合が増えていました。その潮流を察知して、商品を嗜好性の高いものから消費性に目を向けた商品群を厚くした為、売上低減を抑えられていました。

コロナ禍後期?(2021夏〜)

そして、2021年の夏が近づいてくる頃。新型コロナの感染者は爆発的に増加しました。デルタ株という感染力の強い新たな種が流行し、日本において毎日最多感染者を更新する事態となっていたのです。この時期に入ると、外でご飯を食べる事ですら敬遠される有様でした。残っていた個人消費も低減して外食は壊滅的な状態になっていました。

一方で、飲食業界としては違う方面で伸びた分野があります。所謂、テイクアウトや配達などの「内食」ジャンルです。外出自粛で外食が出来ない不満の捌け口として、全ての層が選択肢として視野に入れるようになったのです。良く観察していましたが、単純に持ち帰れるだけでは駄目で、店内のクオリティのまま家でも食べられるものが良く消費されていたと私はみています。ハンバーガー店などは店で食べても家で食べても変わらないので、逆に最高売上を更新している程でした。

私達もこの頃に通販を始めて売上減少の補填をしていました。当然店舗の売上に対しては小さいものでしたが、売上の底支えとして大きな存在となっています。更に、コロナ前では来客していた物理的な距離のある顧客と繋がっていられる効果は大きいと思っています。アフター(with)コロナになった時の振り戻し時には、この繋がりがあるかないかは、大きな違いになるはずです。

アフターコロナ?

そして、この記事を書いている2021年の後半ですが、幸いにもワクチン接種が進み感染者は劇的に減りました。このトレンドが続くのか、または再度感染者が増えるのかは分からない状態です。一つ言えるのは、「個人消費」は戻ってきているという肌感覚があります。単純に考えれば、逆回転で「交友消費」「家族消費」の順で戻ってくるはずです。その時、最適な施策を素早くトレンドを察知して打てるかが飲食店として生き残れるかの分水嶺になるでしょう。

私達のお店は、棲み分けでいえば「個人消費」の更に嗜好性の強い顧客層になっています。それが分かっている上で、トレンドが変わったからといって顧客層を簡単には変えられませんが、商品構成や通販などやれる事は都度対応してきました。この柔軟な対応の結果、売上をコロナ前と比べて大きく落とさずにここまでこれたと考えています。

時勢によって影響を受ける業界やサービス分野は変わっていきます。分が悪い分野に自分がいるからといって、最初から諦めてはいけません。自分達を支持してくれている人達も人なので、いろんな面を持ち合わせています。そこを手を変え品を変え刺激すれば、必ず受け入れてくれる人がいるのです。それを繰り返していけば、厳しいこの状況でも売上を好転させる事が出来ます。伴に生き残りましょう。

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