飲食店の悩み。それは顧客の集客および売上アップです。
多くの店主は、売上アップを目論んで色んな施策を打って来たでしょう。しかし、それらは空振りに終わったものが多かったのではないでしょうか。お店のクリンネスを高めて居心地を良くすれば売上があがるはず。原価率をあげてでも良い食材で商品を開発すれば売上があがるはず。流行りの要素を意識して商品開発すれば売れるはず。それらを実行した結果はどうだったでしょうか。
少しはあがったけど、労力に対して見返りが少なかった。だから、長くは続けられなかった。こういう結末になったものが殆どだったのではないでしょうか。
何故、結果に繋がらないのか。それは私達の努力が足りなかったとか、サービスの品質が足りなかったといった理由ではありません。(そういう場合もありますが)
ただ、相手を間違ってしまっただけです
本記事では、私達の努力がちゃんと売上に返ってくる様にするにはどうすれば良いのか。どういう施策が売上アップに貢献してくれるのか解説していきたいと思います。
売上アップに頭を悩ませている方の一助になれば幸いです。
何故、改善しても売上があがらないのか
当てずっぽうに施策を回していないでしょうか
売上アップを目論んだ時、私達が行うのは改善です。今のオペレーションの精度をあげるとか、新しい商品を開発するなど、自らが努力して成果をあげようとします。
それは正しいし、最終的には自己努力がものをいいます。しかし、それは正しい方向に向かっていて、やっと意味を持ちます。
例えば、ダーツをしているとします。この時、的の方向を見ずに反対側を向いていたらどうでしょうか。どんなに投げても、一生当たる気がしません。今度はもっと具体的な例えにすると、子ども向けの商品としてブラックコーヒーを売り出したとします。売れるでしょうか。結果は火を見るより明らかです。何故ならば、子どもは苦いものが苦手である事が多数派だからです。
この子ども向けブラックコーヒーは、極端な例かもしれませんが、最初からその路線が不利な条件だった場合、良い結果が出る期待値は低くなってしまいます。どんなに良い豆を使っても、どんなに良いバリスタがいれたものでも、どんなにお店の雰囲気が良くても、相手が子どもである以上、その質が向上しても返ってくるリターンは乏しいのです。
まずは、私達のお店に来てくれている顧客が誰なのか。今一度、認識を改める必要があります。相手が誰なのか、どんな人なのかが分かってやっと、取るべき施策が明確になるのです。
全ての顧客がお店の顧客ではない
的を意識した上で、次に行うのは、その的のどこを狙うかです。的は的でも中心部もあれば、外側もあります。ダーツで言うなら、必ずしも中心部だけを狙う必要はありません。今私達が「狙うべき箇所」があり、そこに狙いを定める必要があります。
飲食店において、お店の前を闊歩する人すべてが私達の顧客になる可能性があると錯覚してしまいますが、それは幻想です。全ての人がお店に入ってくれるわけではないのです。実際は、それぞれに趣味嗜好があり、生活スタイルがあり、金銭感覚の違いがあります。これらの要素がお店にあっていなければ、どんなにお店の認知があろうと、どんな状況だろうと、その人はドアをあけてテーブルにはついてくれないのです。最初から、お店の中に入ってくる可能性がある人は限られていて、その対象になっている人の何割が実際に入店してくれるかのゲームなのです。
私達のお店に入る可能性をもっている人の中でも更に細分化されます。40歳男性がメイン層といっても、40歳の男性の中にも、沢山食べたい人もいれば、少量でも質の高いものを求める人もいる。沢山食べたいからといっても、質が低いものは嫌だという人もいる。自分のサービスは、その細分化されたどの人に刺さるのか意識しないといけないのです。
「私達の顧客」が喜ぶサービスを提供しよう
顧客の特性を知ろう
「私達の顧客」となる人が定まったところで、次にその人の行動パターンを知る必要があります。その人の行動様式を理解していないと、当てずっぽうな施策になってしまうからです。パンが大好き、といっても朝しか食べないという人には、カレーパンなどの惣菜パンを訴求しても中々リピートはしてくれないでしょう。正しい相手でも行動範囲から外れていては、目に入らないのです。
私がお店の経営をする際には、消費の仕方で顧客を分類しています。
これは消費をする際に、どの観点を一番大事にしているかで分類しています。
1.家族消費志向とは、
家族との消費をメインとした人達です。飲食でいえば、この人達は外に食べに行った時、家族で飲食し易い環境でなければ選んでくれません。更に、子どもまたは祖父母世代が食べれるようなメニューがなければいけません。色々な世代がいるので商品のバリエーションが必須です。ここの層をターゲットにしている飲食店が「ファミレス」です。
2.交友消費志向とは
自らと近い関係性の人と楽しむ為の消費をメインとした人達です。その為、食事というよりも会話を促進しやすいものを好みます。シェアが出来たり、エンタメ性を求められます。この層を狙っている飲食店の典型が「居酒屋」です。
3.個人消費志向とは
自分が楽しむ事をメインとした人達です。自らの嗜好を満たしてくれる事を求められるので、専門性や希少性が重要になります。この層は一番品質に厳しく、また嗜好が細分化されているので、当てるのは難しいがハマれば勝ちやすい分野だと思います。ラーメン屋がその典型です。
これは私の顧客分類ですが、その顧客がどんな行動の中で来店しているのかを理解すれば、自ずと施策の方向性は見えてくる事でしょう。相手を知って初めて何が悪かったのか理解できるのです。
顧客の「ニーズ」を掴んで売上げアップしよう
今お店をリピートしてくれている人、または新規でも入ってくれる人をよく観察すれば、今流入している層が、どんな消費を求めているのか何となくでも分かると思います。その上で次に踏むステップは、その人達の「ニーズ」が何か深堀りする事です。
「ニーズ」とは、その顧客に内在する顕在化していない欲求を指します。例えば、包丁を買った人がいます。この人は何がしたくて、包丁を買ったのでしょうか。普通に考えれば、何かを切るのに必要としていて、大抵は料理をするのを目的としているでしょう。ただ、ここにおいて購入者の包丁を購入した理由は、直接的には「料理」する為なのかも知れませんが、その真なる目的は料理をしてそれを食べ、お腹を満たすところにあります。即ち、極端な言い方をすれば、お腹を満たす為に包丁が欲しいのです。つまり、それに寄与しない包丁は、価値がないのです。包丁が欲しいといっている人に、細工用のの小さな包丁を渡しても、満足はしないのです。
これは単純な展開ですが、実際は非常に複雑です。包丁を買った人の中でも、食べるのを主眼にしていれば上記の通りですが、料理を趣味としている人にとっては作る事が目的になります。そうなれば、正に細工をする為の包丁が必要なのです。
このように、ニーズを捉えるのは大変難しい作業です。ですが、それを捉えられなければ、いつまで立っても売上は向上していきません。自分が提供しているサービスがどんな消費志向の人にあたるのか、どんなニーズをもっているのか理解をし、それに適切な施策をうててやっと、事態は好転に至るのです。
まとめ
施策を繰り返して中々成果を得られないのは、相手を間違えてしまっているからです。決して努力不足だからではないのです。
「私達の顧客」が誰かを見定め、それが分かったら彼等の行動パターンを理解します。朝と夜では欲しているサービスが違いますし、その人に家族がいるかいないかでも更に行動は変わってきます。
そして、私達のサービスが彼等の何のニーズを満たしているか分析しましょう。商品の質を評価してくれて来店しているのか、家族で入りやすいので訪れているのか評価軸が分かれば、そこに対して改善を行えば売上は伸びていきます。もし現在が良くない状態であれば、今のサービスで満足出来るニーズを持った人が周りに少ない、もしくはいないのです。
何故人はそれを買うのか、その解像度を上げる事が売上をあげる方法論です。この記事が皆さんの参考に少しでもなれば幸いです。では、次の記事でお会いしましょう。
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