自分の中でやらなくてはいけないと思っていながらも、中々手を付けられない事柄ってないでしょうか。重たい作業だから手を付けるのが億劫だ、やりたいけどやるか迷っている等、できない理由を様々引っ張り出して結局「やらない」になってしまう。
この原因は、全体の作業ボリュームだとか諸々の具体的な要因がどうのではなく
「始めるのが面倒だ」
この感情が全てです。
当記事では、誰もが持っている怠惰な感情に【仕組み】で抵抗して、私達の重たい重たいはじめの一歩を踏み出させる方法をまとめたいと思います。
何故、一歩を踏み出せないのか
人は重たい作業が目の前に来た時、大概の人は「やりたくない」「後でしよう」という感情が生まれると思います。正に感情によるブレーキが掛けられている状況です。
この感情、何からやってくるものでしょうか。具体的な作業に嫌気が指しているからでしょうか。それもありますが、根本的な原因は違います。
今の状態に留まりたい
という精神的なホメオスタシス(恒常性)が、真の犯人です。
ホメオスタシスというのは、基本的に体温・血糖など身体の状態を正常な値に保とうとする仕組みを指して使いますが、これは精神においても同様な原理が働いています。
例えば、新しい事に挑戦するケースを考えると分かりやすいと思います。何か始める時に芽生える感情は、成功への期待を抱く一方で、「失敗したらどうしよう」「大変そうだ」とネガティブな言葉も同時に頭を去来します。この正体は、リスクに対するストレスに精神が拒否反応を示し、元の平穏状態へと誘う精神のホメオスタシスです。億劫なものを後回しにするのも、同じです。「今のままでもまだ大丈夫だ」という潜在意識が、行動に掛かるストレスを回避しようとしているのです。
特に挑戦に関する精神のホメオスタシスは強いといえます。未来を考える時、全ては確率の話になり、未来の不確実性を考慮すれば必ずそこにはリスクが存在します。もしリスクを取って失敗した場合は、現状よりも悪くなる「かもしれない」。であれば、現状のままでいるのがリスクが一番低いと感じてしまうのです。
このロジックが、大きな重力となり、人を「現状」という地面から足を離させない強い力となっているのです。精神にとって「現状」は、確実性のある起伏をもたらさない一番簡単な選択肢なのです。
ただ、忘れてはいけないのは、それは精神にとって一番リスクのない選択肢なのであって、現実においてリスクの最小化が「現状」であるとは限らない点です。
挑戦しない事が、最大のリスク
という現実が多々あるのです。寧ろ、「現状維持」はリスクある選択肢に分類される方が多いのではないでしょうか。
自分を動かす仕組みをつくろう
私達の歩みを阻んでいるのが感情の仕組みなのであれば、どうにも対応出来ないではないかと思う方もいるかもしれません。いえ、そんな事はないのです。歯に歯を、感情には感情で対抗です。
阻むものが感情の仕組みであるなら、推進するのも感情の仕組みを利用すれば良いのです。
端的にいいます。
「やりたくない仕組み」があれば、必ず「やる仕組み」も存在します。
具体的には、以下の方法をオススメします。
①道具を一式買ってしまう
②環境を整える
③周りに行動を宣言する
④褒美を設定する
順に説明します。
①道具を一式買ってしまう
これは、単純に何か欲しい物を買えば良いというものではありません。行動に移したい事柄に絡む用具を買うのです。まずは、用具一式を買ってしまう。そうすれば、今度はこれらを無駄に出来ないという感情を誘い出すことが出来ます。お金を使ってリターンがなければ、それこそ目に見えて損害となります。自らが行動しなければ、損害になるという状況になれば、精神は自ずとリスクを嫌って、一歩を踏み出します。
②環境を整える
ものを揃えるのは、追い風に関する事柄です。ここでいう環境を整えるとは、向かい風に対処しようというお話です。
学生時代、テスト勉強を始めようとすると、部屋においてあるマンガについつい手が伸びてしまうなんて経験はなかったでしょうか。私は正直あります。最近読んでいなかったマンガが何故だか気になりだし、1巻だけと手が出てしまう。これは勉強というストレスを癒そうと、精神のホメオスタシスが働いている事象に他なりません。
こうした誘惑となり得るものを周りから排除しましょう。精神は行動しようとする自分を引き戻そうと、日常に目を向けさせます。この時に言い訳になるものを周りにおいてはいけません。そこから後追いで理性的に理由をつけて邪魔をしてきます。それをさせない為にも、自分の周りにおくのは行動に必要なものに制限しましょう。
③周りに行動を宣言する
「海賊王に俺はなる」正にこれです。
他人に宣言すれば、ひと目を気にして精神に対してプレッシャーを掛けられます。宣言通り行動して、早く精神は通常の状態に戻ろうとする力学が働きます。
これの良いところは、単純に自らを制する点だけではなく、それを聞いた周りの人から助け舟が出る可能性がある点です。自分にはないリソースを借りれたり、アイデアを与えてくれる人が現れるかも知れません。
④褒美を設定する
人参を付けられたのものがそれを追いかけるのは馬だけではありません。人間もまた目の前に欲しているものが垂れ下がっていれば、走り出すのです。
ここで重要なのは行動そのものに褒美を設定するのではなく、行動の結果に対して設定する点です。前者においては、褒美を手に入れようとハードルを下げてしまう恐れがあります。必ず、結果に褒美を紐付けましょう。
引き止める仕組みがあれば、必ず背中を押してくれる仕組みを存在します。前者を削っていき、後者となり得る要素を積み上げていければ、自ずと足は前へと進んでいきます。自らを良く客観的に分析し、流れをつくっていきましょう。
まとめ
「始められない」は、ストレスを貯めまいとする心の反射行動ともいえるので、私は怠け者だと卑下する必要はありません。全ての人が持つ生理現象なのです。その始点から顧みて、再度自分を行動へと誘う仕組みを構築すれば良いのです。
まずは自分のストレスになり得る要因を分析する。自分のストレスはどこかを明確にする。挑戦できないというのであれば、何をリスクと捉えているのか見える化し、敵を見定めます。
その上で、行動する為の精神的な道筋を立てる。前述の様な環境を整え、行わない理由を排除し、行う理由で満たす。その挑戦を行わずには入れない状況を自ら作り出すのです。
あくまで、心の問題だと捉え、心への対応を企てれば自然と足は動き出します。私も同じついつい怠惰な自分に負けてしまう一人です。一緒に自分を変えていきましょう。少しずつで良いんです。
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